メロカクタスのみならず
メロカクタスのみならずです。
2017-07-24 相手の分析
シゲルは真剣な表情でキヨシに言った。

「改めて頼みたい……。オレと勝負してくれ……おまえとなら、今日のムシャクシャした気分を吹き飛ばせる走りができそうなんだ。どうだ、受けてくれるか?」
「……わかった」

カズが驚いた。キヨシはこの男になにか、打たれたものがあるのか。単純にレースが好きなだけの男なのか。

シゲルの提案により、シゲルとキヨシは変則的な態勢でスタートラインについた。先にシゲルのバイク。シゲルのバイクの尻に、キヨシのバイクがぴったりついている。

参加させてもらえないカズが、ブツブツと憎まれ口をきいた。

「おそろいのレーシングつなぎかよ。おぼっちゃまはカッコいいねえ~」
「まあな……オレのホイール1本でおまえのバイクが買えるよ」
「くう~!くそったれがッ……」

そんな会話を聞きながら、キヨシはシゲルのバイクのホイールに目をやった。ヤツのホイールはマグネシウムか……。

さらに、うしろからシゲルを観察しながらキヨシは考えた。やせ型で身長も低い…体重はオレより軽いだろう…ホイールまでマグネシウムってことは、徹底的な軽量化か…。

シゲルの仲間がスターターの位置で説明した。

「時間は勝負がつくまで無制限!うしろについたおまえがシゲルを追い越したら、おまえの勝ちだ。シゲルがこのままおまえを振り切って離したら、シゲルの勝ちだ。いいな?」
「ああ」