2017-06-23 対抗意識
カズの対抗意識がメラメラと燃えてきた。
くそっ~あいつめ、綾の気持ちをしっかりつかんでやがる。オレのほうが絶対速いはずなのに…よおし、こうなったらオレのほうがどれだけ速いか、綾に見せつけて、綾の気持ちをぐいっとこっちに引き寄せてやる!
そのころ、校庭の片隅にキヨシはいた。高い植木に目をやっていると、2羽の鳥がスーッと急角度で降下してきて枝に止まった。そのとき、あるひらめきがあった。
「角度?そうか!コーナーに入る角度が一定じゃないんだ」
キヨシは頭をかかえてため息をついた。
「まだクセがなおってないんだ……」
そこへキヨシを見つけたカズがやってきた。ニヤリと笑うカズ。
「よお!キヨシだろ?」
「?」
「綾に聞いた。カズだ、よろしくな」
「ああ、よろしく」
「おまえ、バイク乗るのか?」
「中型免許をとったんだけど、まだマシンを買えなくて50に乗ってるよ」
「オレもだ。おまえとは多少、方向性がちがうけど、仲間うちじゃ、世田谷最速の男で通ってるぜ、フフフ」
「へえ、すごいな」
かなりの出まかせを言ったのに、キヨシは素直に驚いた。
「なあ、オレ、チームつくってんだけど、入らねえか?」
「暴走族?」
「そうじゃねえよ、ナリはそれっぽいけどよ。走り屋のチーム」