2017-07-10 無心に走るキヨシ
ところが、あっという間にキヨシのマシンに追い抜かれるカズ。
「?!」
キヨシは前を走っていく。やべえ、出おくれた!スタートでウイリーかまして油断しちまった!ここからだ!
しかし、キヨシのバイクは無心に走る。カズは焦るりはじめた。こいつは速い。すると、コーナーでスッと視界からキヨシのバイクが消えた。
「な、なんだ?!……」
気づいたときには、キヨシのバイクはずっと先を疾走している。
「もうあんなとこ走ってるじゃねえかっ?!は、速えぜ、こいつ!…」
置いて行かれたことに落胆していたカズだったが、その彼をキヨシのバイクが、ふたたび追い抜いていく。カズは愕然とした。
「し、周回遅れ?……」
教習所でやや離れてそれを見ている男がいた。シゲルである。彼はじっとキヨシの走りを見ていてつぶやいた。
「…コーナーからの立ち上がりが早い…なかなかの腕だな」
ちょうどその時刻。ある高級料亭付近の道路を綾が自転車で走っていた。
「あ~急がなきゃ!早く、早く!終わっちゃうよ~」
その料亭の玄関前では路上に停めた怪しげなワゴン車の中で、女性レポーターがそとの気配をうかがっていた。気配に気づいた女性レポーターがクルーに告げる。
「くるわよ!カメラの用意は?」