メロカクタスのみならず
メロカクタスのみならずです。
2017-07-13 運命の交差
「オッケーです!あっ!裏で車に乗り込んだようです!」

車が出てくるのが見えた。しかし、スモークが貼られている。

「なによ!これじゃ顔がぜんぜんわからないじゃないの!どうするのよ、予想できたでしょ!」
「どうするって言われても……」

女性の剣幕にオロオロするばかりのクルー。と、そのまえを猛スピードで自転車が突進してきた。綾だ。彼女は気づかない。

「あ、あの子あぶない!ぶつかる!」
「あっ!」

通りへ出てきた車に気づき、綾は急ブレーキをかけた。車のバンパーにどすん、とぶつかりながら自転車が止まった。運転していた秘書、ドアをあけて出てくる。

「だいじょうぶですか?!」
「は、はい…それより、すみません、車に傷が……」

女性はその光景を見逃さなかった。

「チャンスよ!飛び出すわよ!」

いっせいにそとへ飛び出すテレビクルーたち。開いた運転席のドアから、マイクをもった女性とカメラがまわりこんだ。

「相原大臣、相原大臣!ちょっとお話をうかがいたいんですが!」

開いたドアの後部座席でぎょっとしている、相原とT組長。

「な、なんだっ?!」

女性レポーターがにんまりした。そのとなりで綾はわけがわからず、ぽかんとしているばかりであった。いったいこの人達はなに?それより私、急がなくちゃ…。