メロカクタスのみならず
メロカクタスのみならずです。
2017-07-06 レース開始
コースのなかに入った彼らのもとに、「おーい、持ってきたぞ!」と仲間が自販機からジュースの空き缶をたくさん拾ってきた。

カズはコーラの空き缶を2つとると、縦に踏みつぶした。

「?」

キヨシが不思議そうに見ていると、自分のジーンズの両膝に、つぶした空き缶をガムテープでグルグルに巻いていく。カズはニヤリと笑った。

「バンクセンサーの代用品だ。庶民の知恵だぜ」

キヨシがニコリと笑った。おもしろい連中だ。

「おまえもやるか?」
「ああ、バンクセンサー持ってきたけど消耗品だし、もったいないからな」

キヨシもマネをして缶を踏みつぶして、両膝にガムテープでグルグルに巻いた。カズが言った。

「さて、走るか! 綾もそろそろくるだろうし」
「綾?」

「い、いや、なんでもねえ!キヨシ、先頭か後ろか、どっちがいい?」
「いちばん後ろでいいよ」

「ああ、わかった!」
「まさか、このオレを抜こうなんて思ってんじゃねえだろうな」

今度はキヨシがニヤリと笑った。

先頭にカズ、ほかの仲間をはさんでいちばんうしろにキヨシがついた。だれかの「GO!」の合図とともに、カズは「おりゃあ~!」とウイリーでバイクをスタートさせた。

「残念だなキヨシ。おまえの視界からすぐにこのスーパーマシンは消え去ることになる、フフフ」